座席で数えると十二、三ほどの人数しか入れない小さなショットバーが、江戸は神田駿河台の一角にある。そして毎週水曜日だけ、歴史好きで溢れ語り合う。
「歴史をよく知っている者のみが、語るに足る者である」。そんな風潮が、この社会に根付いている。
が、ここはそんなにダサく古臭いことはない。これから歴史を知りたい興味者にも大きく門戸を開いている。
つまり、ポップなのである。ここは多分に酒蔵のようなもので、歴史の堅苦しさを軽やかな酒精分にまで蒸留させてしまう作用がある。
21時からは「数寄語り」と題する、名物コーナーが始まる。歴史好きが15分間、自分の好きな歴史を語るというもの。
意外と数十人の前で、歴史を語る機会はない。緊張もするし、準備だって大変だ。しかし、やり終わった弁士たちは爽やかな充実感を得ることができる。語ることに対する得手不得手は関係ない。日頃の生活から一歩踏み出す経験が、なにより重要だからだ。
そして、その語ったことが、コミュニケーションの種にもなる。
ここで出会い、呑み、語らう。ひとが生きてきて最も喜ばしいのは、同じ趣味の友や恋人がいる場所を得ること。
レキシズルバーの使命とは、そこにあるのではないだろうか。ここには新しいひとびとを快く受け入れる「器」があるように思う。小さな小さな箱のくせして。
18:30オープン。早い時間帯は席が空いてるので狙い目。初めて来る方も多い。
20:00、徐々に歴史好きが集まってくる。
21:00過ぎ、数寄語りがスタート。この時間帯がピークに混む。店の外にもひとが溢れている。
クローズは23:30。また来週。
レキシズルバーでは、オリジナルの歴史カクテルがあります。お酒を呑めない方には、ノンアルコール系をご用意。他に、ヱビス生ビールや日本酒など、フードはキーマカレーや日替わりの肴や乾きものなどの軽食も楽しめます。